所感
日本はどこに向かうのか。
世界の秩序が揺らいでいる。
めまぐるしい情報の動きとともに、企業も人も資源や仕事を求めて国境を越え、
市場経済と民主主義のメカニズムが綻びつつある。
混沌から秩序を生み出すのが政治の役割だとすれば、トランプもプーチンも、
そのための手段を選ばない。まず波紋を広げてから落ち着かせ、活路を見いだしている。
中距離核戦力(INF)全廃条約を失効させる一方で、
平然と軍拡競争を避ける議論の再開を呼びかける。
硬軟を自在に使い分ける姿勢は見事ではないか。
こうした政治のしたたかさが、国際社会を生き抜くために必要なのである。
海外では、市民レベルでさえ、香港のデモのように命がけで駆け引きを挑む風土がある。
一方、日本人は、ミサイルの発射さえも花火が上がった程度にしか受け止めない。
国防の根幹を為す自衛隊を単なる災害ボランティアだと思ってはいないか。
半島情勢も尖閣の領有も、ホルムズ海峡の安全はもとより、
食料や資源エネルギー確保の観点から、国民生活に直結する重要な課題なのだ。
理念だけの平和を唱えながら憲法改正には関心がなく、
危機感も競争心も持たないのは民族性なのだろうか。
弱肉強食の国際社会の一寸先は闇だ。日本はどこに向かっていくのだろうか。
安倍首相は、大国や隣国を相手に筋を通す外交を展開している。
今秋には在職期間が憲政史上最長となる。
反面、自民党政権による内政安定の陰で、地方自治が停滞する兆しを感じている。
政治参加の意識が希薄で、先の統一地方選挙でも約2割の議員が無投票であった。
『地方自治は民主主義の学校である』
英国の政治家ジェームス・プライスの有名な言葉である。
各位のご協力で令和初の国政選挙に勝利した今、
民主主義の行く末を案じて、日本がどこに向かうのかを考えている。
令和元年 初秋
2019年10月1日