2022年01月

新春のお慶びを申し上げます。

「年の若水くむ今朝は」樋口一葉

新年の朝一番、恵方にある井戸水や湧水を汲んで雑煮を祝いお茶をたてる。

四季の移ろいや花鳥風月は、日本人の心の豊かさと優美な感性を育んだ。

長いコロナの巣ごもりは、様々な事柄を考えさせた。

先人の大いなる努力が強靭な国土をつくり、国際社会での自立と秩持を醸成した。

同時に長い平和と安定は、無気力と事なかれ主義を肥大させた。

いま世界は、歴史、民族、宗教など全てを呑込む大変革の潮流に曝されている。

これに伍して国家を存立させるには、日本の精神文化を総動員せねばならない。

節制と鍛錬によって培われた日本人の品格と胆力は健在なりと信じたい。

高い志を次の世代に受け継ぎ、躊躇なく前進に導くことが将来への投資となる。

人類の危機を予言するフランスの経済学者ジャック・アタリは、日本に対して、

「未来を恐れるな、未来を恐れなければ必ず成功する」とエールを送る。

パンデミック後の新たな秩序を模索する中、若水のように若者の志を汲み取り、

未来の創造につなげる希望と使命を実感している。

そう思うと、今年の若水はいつになく清々しく感じる一掬いである。

あらたまの 年の若水くむ今朝は そぞろにものの 嬉しかりけり

年頭謹白

本年の皆さまのご健勝とご多幸を心より祈念いたします。

令和四年元旦